私が森村誠(もりむら まこと)さんの存在を知った
のは、一昨年に大阪府立現代美術センターで行われた
『ギャラリズム2006』でのことだ。
彼は、辞書から平仮名の「は」とアルファベットの
「z」のみをカッターで切り抜き、穴だらけになった
辞書と、何千もの断片を詰めた瓶を並べて展示した。
「ははは……」と自分を笑い飛ばし、「zzz......」と
安らかな眠りに就くのだという。何たる馬鹿馬鹿しさ!
膨大な時間と手間をかけた作業と、その結果の
ギャップに、思わず脱力した笑いがこみ上げた。
今回、彼は新作を発表した。昨年アーティスト・イン・
レジデンスでパリに短期滞在した際に作った作品群だ。
素材は街中のキオスクで簡単に手に入るパリの地図。
地図上の特定の文字だけが修正液で塗り潰されており、
一見した所、まるで雪が積もったかの様な風情だ。
消した文字は「fuck」だの「bitch」だの汚い言葉が多い。
森村さんたら、パリで少々荒んでいたのだろうか。
それにしても相変わらずの徒労ぶりである。
この乾いた空虚さこそ、森村作品の最大の魅力であろう。
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