日下部一司(くさかべ かずし)さんの作品と言えば
写真とレディメイドだが、今回のメインは後者。
会場には多数の骨董品が陳列されており、
一見した所、現代アートの展覧会には見えない。
床には3点の作品。入口手前のガラスケースには
口を和紙でふさがれた大量の紅いお椀が入っている。
真ん中にあるのはウサギの五徳(火鉢や囲炉裏で
鉄瓶などを乗せる器具)。机の上のはカメラの水平器を
乗せており、床のは丈の短い机の脚を支えている。
一番奥の作品は別の五徳を3段重ねしたもの。何となく
デュシャンの『瓶乾燥機』を連想させる造形だ。
他には、何も支えていない棚受け、マイナスネジで
十字形を作った作品、ホーローの洗面器を重ねたもの
など。いずれも見慣れたアート作品とは違う
摩訶不思議な空気を醸し出している。
骨董品の味わい、レディメイドという概念、日本古来の
見立ての感覚。そうした要素が重なり合うグレーゾーン
に今回の作品は位置している。この絶妙なバランスは
日下部さんにしか出来ない芸当だ。
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