八木良太(やぎ りょうた)さんを知ったのは昨年の
神戸アートアニュアル『眺めるに触れる』でのことだ。
その時は、氷製のレコードや爪楊枝でレコードの溝を
こする作品(どちらもちゃんと音が鳴る)など、
どちらかと言うと音楽との関連性が目立っていた。
今回も音を扱った作品はあるが、メインテーマは
文字と記号、それらに関する認識である。
例えば『星の王子さま』の原文をガラス板の表裏に
刷った作品では、アルファベットがよく見えないのに
対し、ピリオドやカンマなどは白く浮き出ている。
「大切なことは見えない」を鮮やかに体現した表現だ。
他にも、虹に関するテキストを用いた作品では
近寄るほど文字が読めなくなる仕掛けで虹の本質を
表しているし、エリック・サティの楽譜を用いた作品
では音楽の調性の不思議がビジュアル化されている。
思考を説明するのではなく、アートの技法を用いて
鮮やかに描き出す手腕は見事と言う他ない。
コンセプチュアルアートや知的遊戯性の強い表現が
好きな人は見ておくべき若手作家である。
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