平林純(ひらばやし じゅん)さんの作品を最後に
見てから、もう5、6年経つかもしれない。
当時の作品は、自分や友人の顔、街中の群集の姿などを
映像の様に写実的かつクールに描いたものだった。
まるで作家と対象の間に透明なベールがかかっている
様な距離感があり、その距離感から現代における
人と人との関係性や社会の有りようが感じられた。
久々に拝見した今個展では、作風が大きく変化していた。
人間の顔の皮を剥いで魚の開きの様ににした図像が
真っ白なキャンバスいっぱいに描かれている。
本人に訊ねた所、自分の顔に墨を塗り、魚拓ならぬ
“顔拓”を取って、それを元に描いているとのこと。
以前の作品にあった距離感にリアリティを感じなくなり、
もっと対象(=自分)に肉薄するような表現をしたいと
模索した結果、一昨年から今のスタイルになったそうだ。
顔拓という直接的な刻印をモチーフにすることで、
虚飾を廃した自分自身に迫ろうとする強い意志が
感じらた。また、長年にわたり一つのテーマを追求する
粘り強い姿勢にも好感を持った。
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