勝手にRECOMMEND 〜小吹隆文の、関西・アート・見聞〜
インタビュー  平成17年12月15日


※上から3番目、4番目の画像は、作品の部分


かがじょう けん
大阪府出身。大阪芸術大学大学院修了。
現在、京都造形芸術大学で非常勤講師。
平成10(1998)年、『第3回昭和シェル石油
現代美術賞展』(東京)に出品、平成12
(2000)年、ギャラリーマロニエ(京都)で初
個展。他、個展、グループ展多数。
加賀城 健さん



染色というジャンルで、伝統とは随分異なる作品を
発表している加賀城健(かがじょう けん)さん。
1950年代の抽象表現主義絵画を思わせるタッチと、
染色特有の色彩の染み込みが同居する作品は
どのようにして誕生したのか。お話をうかがった。


――作品の作り方を教えてください。

布をパンパンに張った状態で床に固定し、防染糊(染色
用の糊)を布の何箇所かにどっさり置きます。それを1
メートル以上あるヘラでこすり付けて伸ばし、その後布
を染めています。(作品の)模様部分は糊を引き伸ばし
た跡で、僕が這いずり回った痕跡です。
現在は自宅で制作しているのですが、染めたり定着させ
るのに5日ほどかかるので、天気予報をじっくり調べて
5日間続けて雨が降らない時にしか制作できません。

――ユニークな制作法ですが、どうしてそうなったので
すか。

僕は大学で染色(型染め)を学んだのですが、既存の作
品を見てもどうもピンと来なかった。
(一般的に)染色作品を作る場合、日本画の制作に近い
工程をたどるのですが、それもあってか絵画の後追いを
しているように感じられたんです。
そこで技法自体を見つめ直しました。各工程を自分にと
って必要な部分とそうでない部分に分けて、必要と思う工
程だけを大胆に導入したんです。

――抽象絵画を思わせる作品ですね。

でも、アクションの結果をストレートに出しているだけ
じゃありません。それだと抽象絵画の後追いでしかない。
例えば、染料の滲みやボケは職人の世界では失敗とさ
れるのですが、僕はふんだんに利用する。染料の特性を
利用した、染色ならではの表現だと思ってます。

――そもそも、どうして染色を専攻したのですか。

僕は元々は絵画志望でした。染色を選んだのは、正直
言うと入試で最初に合格したのが染織科だったからです。
入学後に、どんな表現があるのかなとギャラリーを回っ
たり本で調べました。元々染色志望じゃなかったので、
かえって客観的に見ることが出来たと思います。

――そうした背景があって現在の表現にたどりついたと。

最初は絵画的な表現をしていたのですが、ズレを感じて
いました。どこかで見たような作品を作ってしまう。
自分にとって嘘のない作品を作りたいと試行錯誤し、た
だ糊を引き伸ばす行為であれば、作為のない自分の表
現が作れるんじゃないかと思いました。

――今回の個展ではテントやバッグの作品もありますが、
これは何故発表したのですか。

布でしか出来ないことをしたい、自分が染めた布をどの
ように提示しようかと考えました。
テントは、用途というよりフォルムが面白かった。最小
限の支持体で立体として立ち上がる所です。
バッグは、作品としてはボツになったけど面白い部分の
ある布を再利用したいという気持ちで作りました。
様々なジャンルの中間領域にすごく可能性を感じている
ので、染色と他のジャンルをオーバーラップさせること
で面白い物作りができると考えています。

――大きな影響を受けたアーティストはいますか。

大学時代に花人の中川幸夫さんのお話を聞いたことが
あります。ずっと闘ってこられた方なので、話の内容も既
成概念を壊すということばかりでした。
その時僕も、いったん関わった染色の世界で既成概念を
超えていきたいと思いました。

――現在、目標はありますか。

とにかく自分のスキルを上げていきたいと思っています。


取材して、非常に理路整然と話されるのに驚いた。
同時にとても熱い人だとも思った。
工芸とファインアートの中間にいると、両方から
誤解されるケースがままある。加賀城さんの作品が
それを克服して新地平を開拓することを期待している。



『加賀城健展ー気色ー』
12月10日(土)〜25日(日)
9:00〜18:00(土日祝日は10:00〜18:00) 会期中無休
ギャラリーマルフク
京都市下京区高辻通烏丸西入
TEL 075-341-1272
URL http://www.029.co.jp/

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